触れることの大切さ

【触れることの大切さ】

整体の仕事を通じて、触れることの大切さを伝えています。

「国家資格のない者は、人の身体に触れてはならない」

そう主張する、いわゆる有資格者の方がいらっしゃいます。
私はこの主張に、とんでもない傲慢さと、大きな違和感を覚えます。

もちろん、科学的根拠をもとに器具や機械を使ったり、強い力を加えるなど、人の身体に大きな影響を与える場合は、高度な知識や訓練が必要でしょう。
この場合においては、前述の主張も正しいかもしれません。

しかし、触れるというのは、最も原始的な行為です。

痛いところに、そっと手をあてる。
苦しんでいる人の背中を、さすってあげる。
失意の渦中にある人の肩を、やさしく抱いてあげる。
大丈夫だよと声をかけながら、とんとんと肩や背中を軽く叩く。
愛する人の髪や身体を、やさしく撫でる。
親愛の情を示すために、抱きしめる。

これらの行為は、私たちは、ほぼ本能的に行うものです。

しかし現代社会は、さまざまな事情により、他者の身体にみだらに触れてはならないという風潮ができてしまっています。
また、情報通信環境の発達や拡充により、人と人が直接関わる機会が少なくなっています。
さらに、先に述べたようなことを平然と言い放つ者が、医療や代替療法の業界には決して少なくない。

その結果、人と人が触れ合うのが何か特殊なことのようになってしまい、その機会が昔に比べると激減していると感じます。
この実状は、年間3万人前後という自殺者数の多さや、精神疾患で悩む人が激増していることと大いに関係があるように思えてなりません。

だから、私は冒頭に述べたように、整体の仕事を通じて、触れることの大切さを訴え、広めていきたいと考えるのです。
手は、神さまが与えてくださった、素晴らしい“道具”です。
人が本来もつ力を目覚めさせ、心身の痛みや不調を治癒させる上で、手以上に安全で効果の高いものはないと私は考えています。

私共が提唱する整体法は、代替医療でもなければ、治療でもありません。
先にあげたような、日常的、本能的営みのひとつです。
手技と呼ばれるものは、特殊なものはひとつもなく、いずれも簡単で、誰にでもできるものです。

手を上手に使うことにより、また触れ合うことを日常生活に取り戻すことにより、病気とされるものの約9割は治癒することができ、また予防が可能であると私は確信しています。
特に、精神疾患や自律神経の乱れに原因がある症状には、抜群の効果を発揮します。

国家資格を権威付けし、それを笠に着る者は多いと思います。
しかし、国家資格を有する医師や薬剤師が、必ずしも人の健康を守るために機能していないことは、多くの人が知る事実となっています。
また311以降、国家を運営する者たちが、国民の幸せや安全よりも、企業の利益を優先させている事実が次々露呈しています。
そのような中、国家資格に過剰に固執するのは、考えものだと私は思います。

人の身体に触れる際に、もっとも大切なこと。
それは、思いやりの心だと思います。
職業としてであろうが、日常生活の一環であろうが、同じです。
思いやりの心があれば、絶対に間違ったことはしないし、何よりもそれがよい結果をもらたします。

しかし、いくら医学的知識や技術を身につけても、高度な資格を取得しても、思いやりの心は育ちません。
逆に、思いやりの心が育てば、知識や技術は後からいくらでもついてきます。
だから私は、整体法講座の門下生たちに対して「生き方を磨き、心を育てなさい」と伝えるのです。

「手の治癒力」という、この本。
触れることの大切さや、その大きな効用、そしてその裏付けとなる科学的な根拠が、たいへんわかりやすく書かれています。
整体師への道を志す人たちはもちろんのこと、一般の方にもぜひお読みいただきたい良著です。

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