整体技術は「道具」です

良い技術さえ身につければ、整体師として何とかやっていける。
多くの方は、そのように考えます。
でも、プロを目指すなら、その認識は非常に甘いです。

技術は、整体師にとって「道具」だとお考えください。
大工さんが使う大工道具、たとえば鉋や鋸のようなものです。

良い道具を使うに越したことはありません。
しかし、良い道具を使ったからと言って、良い仕事ができるでしょうか?
素人が最高級の大工道具を手にして、使いこなせるでしょうか?

逆に、熟練の名匠と呼ばれる大工さんが、最高級の道具を使っているでしょうか?
もちろん、ある一定レベル以上のものは使っておられるでしょう。
しかし、それは高級な道具というより、よく手入れをし、手になじんだ道具ではないでしょうか?

整体技術も、それと同じだと考えていただきたいのです。

ある一定レベル以上のもの、つまり安全性が確認され、実績のある技術であれば、何であってもかまわないと私は思います。
自分が使いやすいもの、自分になじむものを選べばよいと思います。

ここで申し上げたいのは、本当に大切なのは道具ではないということです。
本当に大切なのは、道具を使いこなす技量であり、心だと思うのです。

先に申し上げた通り、たとえ最高級の道具であっても、素人には無用の長物です。
切れ味がいい分、むしろ危険かも知れない。

実際に道具を使わねば、使い方は身につかない。
姿勢、呼吸、力加減など、留意点はたくさんあります。
それらひとつひとつを身体で覚えねば、道具を使いこなすことはできません。

対象によって、使い方を臨機応変に変化させる必要もあります。
固い木もあるし、柔らかい木もある。
素材をしり、素材を活かすことが必要です。
それも、経験を積まねば、身にはつきません。

そして、道具を使って何をするかです。
大工さんなら、住みやすい家を造ることが目的です。
木を切ったり削ったりするのが、大工さんの仕事ではありません。
道具を使うのは、一手段に過ぎません。

整体師の仕事も、同じです。

技術を学んでも、実際に使わねば、身につきません。
さらに、熟練しなければ、役に立ちません。

そして、技術は一手段に過ぎません。
目的は、人さまを健康に導くことです。
そのためには、技術を使いこなす技量と心が大切です。
そして、仕事にするなら、お客さまに来ていただかなくてはなりません。
そのためのノウハウも、必要です。

技術さえあれば、何とかやっていける。
それが、非常に甘い認識であることが、おわかりいただけたでしょうか。

数万円で、技術だけ教えてくれる講習会やスクールがたくさんあります。
プロや経験者が学べば、有用だと思います。
しかし、安いからといって、素人が飛びついたらどうなるでしょうか。
学んだはいいが、使いこなすことができず、途方に暮れてしまう・・・
そんなケースが、本当に多いのです。

趣味でやるなら、それでよいかもしれません。
プロとして稼げるようになるまでに、何年かかってもかまわないなら、それでよいかもしれません。

でも、多くの方は違うと思います。
道具を手にし、それを使って生きていかねばならないのではないでしょうか。
そのためには、生きる術を学ぶ人、つまり師が必要です。

これから整体師になりたい方に「師を探すのに時間をかけなさい」と申し上げるのは、これがひとつの大きな理由です。

たかが道具。されど道具。

道具がなければ、何もできません。
でも、道具だけあっても、結局は何もできないのです。

整体師を志す方へ
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