医療系国家資格について

2012年の医療系国家資格の合格者数。
それは、下記の通りだそうです。

柔道整復師 5,227名
あん摩マッサージ指圧師 1,495名
はり師 3,651名
きゅう師 3,498名

厚生労働省の統計によると、毎年、柔道整復師の合格者が5000人ずつ輩出しており、特にここ10年間で急増しているそうです。
平成22年には柔道整復師数だけでも5万人を越え、平成27年にはその数が、今の2~3割増えると予想されています。

柔道整復師合格を目指す、医療系専門学校。
そこからのメールマガジンには、次のように記載されています。

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2011年3月国家試験合格率93.4%
受験生106人/合格者99名
柔道整復師国家試験『合格保証制度』完備!
就職率100% 就職浪人なし
強い絆が人と夢を結ぶ

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そうです。
専門学校は、国家資格合格を目指すために通うところです。
だから、合格率を競い、宣伝するのです。

専門学校へは、三年間通わねばなりません。
学費は、500万円程度、かかるそうです。

それだけの時間とお金を費やしても、実は「治す」ことも、「稼ぐ」こともできません
ほとんど、試験に受かるための勉強しかしないからです。
技術は、現場経験を重ねてしか、身につかないものだからです。

また、就職はできても、多くの場合は、薄給です。
そして、技術も身につかない。

多くの整骨院で、何をしているか。
それを実際にご覧になると、よくわかると思います。

本当に、骨折の整復をしているところは、ごくわずかでしょう。
患者さんの9割以上は、腰痛や肩こりなどの慢性疾患ではないでしょうか。
なので、電気をあてる、低周波をあてる、軽くマッサージをする。
そのような治療が、ほとんどではないでしょうか。
だから、整骨院に就職しても、本当の技術は身につかないのです。

ずいぶん以前になりますが、退職金をはたいて柔道整復師の資格を取得した男性の話を聴いたことがあります。

その方は、晴れて国家資格を取得し、近くの整骨院に就職した。
しかし、仕事の内容は想像していたものとは、まったく違ったそうです。
治療は、手技は施さず、器具や機械を使ってばかり。
しかも、息子ほどの年齢の若い院長に偉そうにされ、安い給料でこき使われる。
技術も身につかないし、将来も不安…
これからどうすべきか、途方に暮れておられました。

また、私の学んでいた整体学校には、治せる技術を学ぶため、国家資格をもった人がたくさん来ていました。
柔道整復師や鍼灸師などの有資格者の現在の最大の課題は、技術を身に付け、保険治療から脱皮して、実費治療へ移行することだからです。

それでも、大金をはたいて、専門学校へ行く人が後を絶たない。
国家資格だから、安心。
みなさん、そうお考えなのでしょう。

しかし、国家というものが、どのようなものであるか。
2011年の東日本大震災をきっかけに、それがにわかに露呈してきました。
利権や制度にがんじがらめになり、国民の幸せなど考えていない。
私は、そう感じます。
そのような国家に権威づけされた資格など、私は欲しいとも思わない。

整体師は、資格はありません。
ゆえに、無資格者と揶揄されることもあります。

でも、手品師を無資格者と揶揄しますか?
漫才師に、資格が必要ですか?

また、身体にふれる職業は、他にもたくさんあります。
ヨガ教室、体操教室、武道道場、エステティックサロン、アロマトリートメント・・・
そこの先生や術者は、みんな国家資格をもっているわけではありません。

整体師は、手品師や漫才師と同様、100%実力勝負です。
誰も守ってくれないし、誰に頼ることも、できない。
自分の腕だけで、実力だけで生きていく。
3年後には9割以上の者が廃業すると言われている、たいへん厳しい世界です。

実力とは、人を幸せにする力だと私は考えています。
苦労や困難はあれど、その道に邁進できることを、私は幸せに思います。

自分の力で生きていく、整体師。
国家資格とはいえ、保険医療制度に頼らねば、生きていけない柔道整復師、鍼灸師、按摩マッサージ指圧師。
さて、あなたはどちらを選びますか?
それでも、三年間、500万円をかけて、国家資格を取りたいなら、止めはしません。
お好きになさってください。

ちなみに、私は、医療系専門学校へは行っていません。
国家資格も、持っていません。
しかし、専門学校の講師、学生、あるいは卒業生たちから、多くの話を聴きました。
また、整体院に来られたお客さまにも、よく整骨院の話を聴きます。
それをもとに、この記事を書いています。

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