脊柱側弯症の方への対応について、研修生より質問がありました。
以下、私の考えや対応方法を述べます。
これは、側弯症に限らず、ほとんどどのような症状でも共通です。
参考にしていただければ、幸いです。

●医師の受診の有無の確認

これは、必ず確認してください。
もしあれば、いつ、どのような診断を受けたのか、記録をしてください。
手術したのかどうかも、たいへん重要です。
薬の服用も、要確認です。

●症状名について

それが何であれ、お客さまから症状名を聞いた場合、まず自分なりに調べてください。
インターネットで検索すれば、いろんな情報が得られます。
専門書を読むのも良いでしょう。
そうやって、症状、ひとつひとつに対する基本知識を蓄積していく。
これは、とても大切です。

●問診について

症状名は、あくまでも人間がつけたものです。
一口に「脊柱側弯症」といっても、いろんな症状があります。
重度のもの、軽度のもの、その程度、状態、すべて個人差があります
ゆえに、症状名は症状名として、どのような状態であるのかを把握してください。
そして、どうなればいいのか、お客さまと一緒にゴールを決めてください。
それが、いちばん大切です。

・どこに痛みがあるのか
・どんな時に痛みが生じるのか
・それはどんな痛みか
・いつ頃からか
・痛みや違和感はないが、見た目を気にしているのか

その他、お客さまの基本属性や職業、日常生活習慣について詳しくおうかがいするのは、言うまでもありません。

●検査、触診について

立位、座位、仰臥位、伏臥位で、検査、触診を行ってください。
結果は、必要に応じて、記録してください。
ポイントは、以下の通りです。

・正中線の傾き(顔面、体幹)
・鎖骨の状態(傾きや胸鎖関節の突起の左右差)
・目の高さ
・耳たぶの高さ
・肋骨の捻じれ、左右差
・腕と体側の位置関係
・手の回内、回外
・肩峰の左右差
・肩甲骨の左右差(下角の位置、脊柱との距離、傾き、高低差)
・脊柱の蛇行、捻じれ
・骨盤の捻じれ、傾き、開きの左右差
・股関節の左右差(前後上下の転位)
・膝蓋骨の左右差
・内踝、外踝の左右差
・足と脚の内旋、外旋
・足の内反、外反
・各部位筋肉のハリや膨隆

重症者の場合、すぐには大きな変化が見られない場合があります。
それゆえ、細かいチェックシートを作り、毎回細かくチェックをし、施術前後の変化、施術ごとの変化を記録し、それをお客さまに告げることも必要です。
回復の励みとなるからです。

●施術について

私たちの施術は、対症療法ではありません。
この症状にはこの技というような短絡的な発想は、絶対にしないでください。
あくまでも、原理・原則に従って、施術をします。

また、施術方針をお客さまに告げることを忘れないでください。
過度は期待を持たせてはなりませんし、お客さまの努力も必要であることを告げることも時には必要です。
ただし、希望を持てるよう、言葉選びを注意してください。

<原理>
・身体を制御しているのは、脳である
・身体は、全身でバランスをとっている、帳尻を合わせている
・骨格が歪むのは、筋肉等の軟部組織のバランスの乱れである
・筋肉の状態を決めているのは、脳である
・人間は、肉体だけで生きているのではない
・身体は常に、治ろう、もとへ戻ろうとしている
・骨格、めぐり、心を整える

<原則>
・痛いこと、無理なことをしない
・痛い体勢、無理な体勢をとらせない
・できることをする

お客さまの身体は、どこがどうなっているのか。
問診、検査、触診の結果に基づき、自分なりに推測をします。

基本は「基幹操法」を一通り施術することです。
一般的に、「脊柱側弯症」に特に有効とされているのは、「体幹牽引ゆらし法」と「拳上牽引ゆらし法」です。
体幹牽引揺らし法は、脊柱のどのあたりを狙うかによって、膝の角度を調整します。
また、どの筋肉を狙うかにより、ゆらしの程度と加減を調整します。

原理原則の通り、身体は全身でバランスをとっています。
場合によっては、応用講座で伝授している前腕の調整法や、大腿部や脹脛の調整法なども有効であることを忘れないようにしてください。

施術前後の変化を見つけること。
これは、非常に重要です。
重症者であればあるほど、細かく検査し、変化を見つけてください。
そこに、解決の糸口があります。

●指導について

先天的なものでない限り、どのような痛みや症状も、日常生活の積み重ねで生じてきているのです。
それをお客さまにご理解いただくことが、非常に重要です。
今般の症状が生じたのがなぜか、お客さまにお考えいただくことも、大切です。
そして、思い当たることがあれば、その習慣を見直す、改めることを指導してください。

自己療法の指導も、併せて行ってください。
何を狙うかによって、自己療法を選択してください。

●継続施術について

どのような症状であれ、重症なものは回数を必要とします。
特に初期においては、日を空けずに施術をすることが大切です。
その際に、お客さまの負担を少しでも軽減するよう、定額制などの提案をすると良い場合もあります。
西田の場合は、3週間と3ヶ月の定額制を用意しています。

脊柱側弯症