就職ではなく、就社!?
父がサラリーマンだったからだろうか。
私は学生時代、サラリーマンになる以外の選択肢を持たなかった。
大企業、できれば一流と呼ばれる企業へ就職するのが、いちばんだと考えていた。
いま考えてみると、夢のない若者だった。
日本の場合、就職というより「就社」だとよく言われる。
その通りだと思う。
私は、大学時代にインテリアデザインを専攻していた。
だから、デザイナーという職業もしくは職種に就くつもりをしていた。
1984年4月。
当時23歳だった私は、念願かなって大手一流企業に入社した。
とても晴れやかで、誇らしい気持ちだった。
しかし、就職したのではなく、やはり就社であった。
仕事は、生活の糧を稼ぐために行うもの。
好きなことを仕事にできる人は、ごく一部の特別な人だけ。
嫌なことを我慢するからこそ、お金がもらえる。
思えば、小さい頃からそんな「すり込み」をされていたと思う。
だから、就社でも満足であったのだ。
名の通った大手一流企業の社員であることに、大いなる価値を見出したのである。