国家資格を取っておいた方が有利か?

時々、そのような相談を受けます。
お金と時間に余裕があるなら、取られた方がよいでしょう、と私はお答えいたします。
ちなみに私は、国家資格は取得しておりません。

申し上げるまでもなく、整体師は国家資格ではありません。
整体師の仕事は、法に基づかない医業類似行為(医師としての専門知識や技能を必要としないすべての類似行為)とされています。
それが仕事として認められているのは、「人の健康に害を及ぼす恐れのない施術は違法ではない」という過去の判例が拠り所となっています。

それに対して、鍼灸師(厳密には、鍼師と灸師は別資格)、柔道整復師、あんま指圧マッサージ師は、国家資格です。
これらの仕事は、法に基づく医業類似行為とされています。

整体の仕事をするのに、これらの国家資格は必要ありません。
しかし、解剖学や東洋医学を独学ではなく、学校と名のつくところで、きちんと学びたい。
あるいは国家資格をとって信頼感を増したいというなら、取得してもよいというのが、私の意見です。
ただし、前述の通り、お金と時間に余裕があれば、ですが。

ところで先日、電車にのっておりましたら、写真のような専門学校の広告が目にとまりました。
広告には、次のように書かれていました。

医療系国家資格!!
今こそ、本当の知識と技術が必要とされています!
人に感謝され、喜ばれる仕事をしよう!

数百万円の学費を支払い、三年間かけて通い、頑張って勉強すれば、きっと国家資格は取れるでしょう。
信頼を得るために、あるいはハクをつけるために国家資格が必要なら、それはそれで良いと思います。
しかし、国家資格を取得したとても、人に感謝され、喜ばれるような仕事ができるかどうかは、私は大いに疑問を感じます。

知識や技術は、必要です。
しかし、現場で使えなければ、意味がありません。

痛みや不調で悩む方々の中には、死にたいとおっしゃる方もおられます。
身体は絶対に交換できないものですから、そう思われるのも仕方のないことだと思います。
そのような方々と真剣に向き合うのが、私たちの現場です。

医者もさじをなげるような症状であっても、あらゆる手を尽くして改善に導くこと。
その積み重ねの中でしか、本当に人を癒したり、健康に導くための本物の知識や技術は身につかないと私は思います。

そして、実費で勝負することです。
自分の腕と力に、正価をつけることです。
国家資格を笠にきて、保険治療で甘い汁を吸っていては、いつまでたっても力はつきません。
そもそも国家資格を名乗るなら、法を遵守すべきです。
本来定められた範囲で、立派な仕事をしていただきたいと、私は思います。

鍼灸師の仕事とは?柔道整復師の仕事とは?
まずは、真実と実態を把握すべきです。
その上で、国家資格を取るかどうか、検討されてはいかがでしょうか。

整体師を志す方へ
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