【愛の宇宙方程式】

ここのところ、読みたい本がどんどん現れる。
ツンドクが増えていくばかりの中で、この本だけは、すべてをさしおいて一気に読んだ。

日本武術の真髄、合氣。

合氣道開祖である植芝盛平先生は、合氣は愛であると喝破された。
不世出の武術家と呼ばれた佐川幸義先生は、愛そのものの人であったという。

そして、本著者である保江先生は、合氣を愛魂(あいき)へと昇華させられた。
理論物理学者である保江先生が、このような境地に至られたのは、さまざまな奇跡的な邂逅や体験を経られてのことであった。
そこには、キリストの活人術やマザーテレサの奇跡など、さまざまなものが絡む。

どのような攻撃を受けようとも、相手が誰であろうと、宇宙の理に添いながら、相手を正しき道へと誘う。
力を合わせ、共に尊び、共に栄える道を探す。
それが合氣であり、日本人が伝統的に培ってきた武術の真髄であると私は思う。

近代整体の父、野口晴哉先生は、大東流合氣柔術中興の祖と言われる武田惣角先生のもとで稽古してから、技術力を飛躍的に高めたと伝えられている。
それと同じにしては叱られるが、私が合氣道稽古の先に整体の道を見出し、いま再び大東流合氣柔術の稽古に励みながら自身の整体法を練ろうとしているのも、偶然の一致ではないと思う。

困難な時代に、私たちがどのような選択をすべきなのか、合氣には大きなヒントがあると思う。
苦労は絶えないが、この道を邁進できることに、心からの幸せを感じる次第である。