【通勤路】

久しぶりに、かつての通勤路を歩く。
鳩を眺める石の彫像と、圧倒的なコンクリートジャングルに、どうしようもない孤独感と無力感をつのらせ、涙していたあの頃…

当時の私がそこにいたら、声をかけたい。
今は苦しくて仕方がないだろうけど、必ず何とかなる、絶対に大丈夫だと…

小さな小さな、人と人との肌の触れ合いや、心の交流。
そこに、大きな希望の原点がある。
それは、時代がどのように変わろうとも、変わることはない。

どうか、それを忘れないでほしい、
命のある限り、石にかじりついてでも、生き延びて欲しい。

あなたの役割は、あなたが想像するよりも、はるかに大きいのである。
どうか、それを思い出して欲しい。
矮小な虚構の世界で、溺れないで欲しい。

かつての私にかける声が、一人でも多くの生き辛い人たちに届いてくれることを願うばかりである。