【優しい社会実現の鍵】

かつての通勤路、中之島遊歩道。
私が毎日通っていた15年ほど前は、たくさんのホームレスの方がここを寝ぐらにしていたが、一昨日、久しぶりに通った時は、一人も見かけなかった。

心を病んでいた当時の私は、何もかもから逃げ出したかった。
ホームレスの彼らのように、一切のしがらみを断ち切り、自由きままに暮らしていければ、どんなに幸せだろうと思っていた。
さらに言えば、この世から消えてしまいたいと思っていた。

それにしても、彼らはいったいどこへ行ってしまったのだろう。

ホームレスと一括りにしてしまうが、一人ひとりに事情があり、人生があり、悲しさや苦しみ、喜びや楽しみがあるのは間違いない事実だ。
しかし、殺伐とした現代社会は、その事実に向き合う余裕は持ち合わせない。

かつての私のように、経済効率と発展を最優先させる現代社会のあり方に、生き苦しさを感じ、逃げ出したいと思う人は、決して少なくないと思う。
しかし、政治や企業に、一人ひとりに寄り添える優しさ、温かさ、思いやりを求めても、土台無理である。

そこに絶望した人の多くが、自ら命を絶つのではないだろうか。
あるいは、ホームレスという生き方を選ばざるを得なくなるのかもしれない。

優しさ、温かさ、思いやりのある社会を実現する鍵は、一人ひとりの生き方にあると私は信じている。
つまり、一人でも多くの大人が、勇気と希望を持って、自分らしい生き方を選択実践することが、その第一歩だと思う。